交通事故で被害者に火傷を負わせてしまった場合の慰謝料はどうなる?


車を運転している方であれば、誰でも交通事故を起こす可能性があります。衝突した車が突如炎上を起こし、相手方に大きな火傷を負わせてしまったという、最悪の事故事例も存在しています。もし、自分がその当事者になってしまったら、一体どれだけの慰謝料が請求されることになるのか?本項では、交通事故で被害者側に火傷を負わせてしまった場合、請求が発生する慰謝料の種類と金額の計算方法について詳しく解説します。

「交通事故で40日の通院をしたときに慰謝料はどのくらい手に入るのか」

交通事故で火傷を負わせてしまった場合に発生する慰謝料は2つ

基本的に慰謝料とは、事故による「精神的なダメージ」を軽減する為の補償を指し、事故を負った場合の入院費・治療費などを補償するものではありません。例えば、「交通事故による傷害が原因で、業務に支障が出るようになった」などの場合は、慰謝料ではなく「逸失利益」に該当します。

それらを踏まえて、交通事故で相手方に火傷を負わせてしまった場合の慰謝料を解説します。入通院慰謝料は交通事故により傷害を負い、入院・通院などをした場合に請求が発生する慰謝料です。あくまでも、障害を負った際の「精神的なダメージを軽減する為の補償」であり、「入通院に掛かった治療費」や「入院期間の労働収入」などは補償されません。

この点については、加害者・被害者のどちらの側になっても覚えておきましょう。一方、後遺障害慰謝料は交通事故の傷害によって、身体に後遺症が残ってしまった場合に請求が発生する慰謝料です。慰謝料の「精神的なダメージ」という前提上、身体の機能を損なう症状だけではなく、「顔に一生消えない火傷痕が残る」など外貌を損なう症状(醜状障害)も含まれています。

ただし、入通院慰謝料と同じく「傷跡の治療」などの医療費を補償するものではありません。

火傷によって入院してしまった!「入通院慰謝料」の計算方法

慰謝料が補償する「精神的なダメージ」は目に見えず、外傷のように人が判断できるものではないため一律の計算基準が定められています。入通院慰謝料には「自賠責(自動車損害賠償責任保険)基準」「任意保険基準」「任意保険基準」という3つの基準が存在し、被害者の入院・通院期間などをもとに算出します。

自賠責基準:日本では、法律(自賠法)によって「自賠責保険に加入している自動車でなければ運行してはならない」と定められているので、必ずこの計算基準が使われます。自責法基準は、「治療期間」「実際の通院日数×2」のうち、短い期間に4200円をかけ合わせた金額となります。

この4200円とは、自賠責基準の支払基準として定められている慰謝料の日額であり、交通事故における(慰謝料の)最低提示額でもあります。任意保険基準:任意保険は、自賠責保険だけではカバーしきれない部分を補償するための保険です。

自賠責保険とは異なり自主的に加入するものですが、大半の運転手は加入しているのでほとんどのケースで上積みされます。任意保険基準は「一ヶ月=30日」という算定を元に、傷害の程度や入院・通院期間から増額・減額などの調整が行われます。

弁護士基準:弁護士会または裁判所における計算基準です。保険会社よりも公平さや客観性などが重視され、任意保険基準とほぼ同様の計算方法ですが、さらに高い金額が提示されます。計算基準は最近の判例や経済状況などから改定され、2年毎に「民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準(青本)」として発表されます。

ただし、弁護士基準での請求には確固たる根拠が必要となり、被害者の主張だけで簡単に認められるものではありません。

火傷は後遺症が残る可能性も!「後遺障害慰謝料」の計算方法

火傷によって体の一部に傷痕が残ってしまった場合、入通院慰謝料に加えて後遺障害慰謝料が発生します。火傷による外貌への悪影響は「醜状障害」と呼ばれ、後遺症の一つとして数えられています。醜状障害は症状によって等級が定められており、それぞれで発生する慰謝料金額が異なります。

頭部、顔面、頸部の醜状障害・7級12号:「外貌に著しい醜状を残すもの」409万~1000万円・9級16号:「外貌に相当程度の醜状を残すもの」245万~690万円・12級14号:「外貌に醜状を残すもの」93万~290万円の慰謝料金額

また、上記以外の部位に後遺症が残った場合でも、請求できる可能性はあります。

その場合は、以下の2つが該当します。

上肢・下肢の露出面の醜状障害

・第14級4号:「上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの」

・第14級5号:「下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの」

慰謝料は増額の可能性もある?「弁護士費用特約」の存在も留意すべき

弁護士への依頼には費用がかかり、保険会社としても請求金額を抑えようと任意保険基準を強く勧めるため、弁護士による示談交渉を諦めてしまう被害者は少なくありません。そのような負担を軽減するために、自動車保険には「弁護士費用特約」というオプションが設けられています。

この特約を利用することで、保険会社に弁護士費用を300万円まで負担してもらうことができ、被害者は有利に示談交渉を進めることができるようになります。弁護士基準で提示される慰謝料金額は少なくとも任意保険の2倍以上であり、さらに高額の慰謝料を請求される可能性もあるのです。

被害者側が火傷を負った場合でも慰謝料を請求できる?

精神的なダメージへの補償という慰謝料の性質上、逆に加害者が火傷を負った場合でも慰謝料の請求は可能です。ただし、請求できる金額は「過失割合」から算出された分のみとなります。過失割合とは、発生した交通事故に対する過失の割合を指し、保険会社の担当者同士が話し合って決定します。

つまり、当事者双方に過失がある場合にのみ請求でき、加害者側の過失が大きい場合(もしくは一方的に悪い場合)は、相殺されて請求することができなくなります。

交通事故の火傷が原因で死亡した場合は慰謝料が上乗せされる?

交通事故の傷害は後遺症だけでなく、場合によって死亡する原因となってしまう恐れがあります。例えば、「交通事故を起こした当時には生きていたが、入院中に火傷の後遺症が原因で死亡してしまった」という最悪のケースも予想されます。

交通事故の後に別件で死亡した場合であっても、その死亡に交通事故の障害が関わっている、もしくは関わると予測されるのであれば、請求される可能性が無い訳ではありません。事例が少ないレアケースの請求ではありますが、可能性としてはゼロではない事も念頭に置きましょう。

保険会社への任せきりは禁物!被害者には謝罪の意思を示すこと

重大な人身事故が起こった場合でも、保険会社は「後は担当にお任せください」などと念を押し、担当者同士で示談交渉を進めてしまうケースがほとんどです。しかし、保険会社が対応できるのは民事責任だけで、加入している保険契約の範囲に限られています。

何もしないままでいると、却って被害者の感情は悪くなってしまいます。保険会社に言われたからと言って任せきりにするのではなく、こちらも弁護士を立てて被害者へ謝罪の意を示し、示談に取り次いでもらえるように交渉しましょう。

行動を起こすことで検察官や裁判官の印象も良くなり、こちらが有利になる可能性も高まります。